相続した不動産を売却する利点とは何か?注意すべき点について解説します
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不動産を相続した際には、さまざまな処理方法が考えられます。相続人がその不動産を利用する予定がない場合や、複数の相続人がいる場合には、現金化することで分割が容易になるため、不動産の売却が推奨されます。そこで、本稿では相続した不動産を売却する際の利点や欠点、知っておくべきポイントについて詳しく説明いたします。
目次
- ○ 相続した不動産を売却する利点
- ・維持費が不要になる
- ・特定空き家に指定される危険性
- ・財産を平等に分配することが可能である
- ・近隣の問題を回避することができる
- ○ 相続した不動産を売却する際の欠点
- ・不動産の所有権がなくなる
- ・譲渡所得税が課せられる
- ・持続的な収益が得られなくなる
- ○ 相続した不動産を売却する際の重要なポイント
- ・中古住宅として売却する
- ・更地にして売却する
- ・古家付き土地として売却する
- ・3年以内の売却がポイント
- ・被相続人の居住用財産(空き家)を売却する際の特例
- ・不動産売却時に注意したいポイント
- ○ 最後に
相続した不動産を売却する利点
相続した不動産を売却する際には、以下の利点があります。
維持費が不要になる
不動産を管理する際には、メンテナンス費用を含むさまざまな維持費が発生します。
また、不動産の使用状況にかかわらず、固定資産税や都市計画税の支払いが求められます。
このため、使用していない不動産を売却することで、これらの維持費を削減できる利点があります。
さらに、空き家を適切に管理せずに放置すると、行政から特定空家として認定される可能性があります。
特定空家に指定されると、住宅用地に対する固定資産税の優遇措置が受けられなくなり、税負担が増加します。
したがって、相続した不動産は放置する前に売却することをお勧めします。
特定空き家に指定される危険性
特定空家に指定されるリスクは、税金の問題に限られません。
多くの場合、適切な管理が行われておらず、建物の劣化が進行していることが考えられます。
その結果、倒壊の危険性が増し、通行人や隣接する住宅に対して損害を与える可能性があります。
また、放火や侵入といった犯罪に巻き込まれるリスクにも留意する必要があります。
したがって、特定空家に指定される前に不動産の売却などの対策を講じることが重要です。
財産を平等に分配することが可能である
不動産をそのまま相続したいと考える方がいない場合や、
主要な財産が不動産のみであるような状況では、遺産分割協議が難しくなる可能性があります。
このような場合、売却して現金化することが、遺産分割を円滑に進める手段となるでしょう。
不動産売却によって得られた利益を分配する方法は、換価分割と称されます。
この方法は、不動産以外にも、物理的に分割が困難な貴金属などの財産を分割する際にも有効です。
近隣の問題を回避することができる
相続によって得た不動産は、常に適切に管理されているとは限りません。
遠方に位置していたり、仕事が多忙であったりするために、放置されることも考えられます。
その結果、建物の劣化が進行し、倒壊の危険性が増すことがあります。
また、雑草が繁茂したり、害虫や害獣が発生したりすることで、周囲の景観が損なわれる可能性もあります。
このように管理が不十分になると、近隣住民とのトラブルに発展するリスクがあります。
しかし、不動産を売却することで管理の責任がなくなり、近隣とのトラブルを回避することができるでしょう。
相続した不動産を売却する際の欠点
相続した不動産を売却する際には、以下のデメリットに留意する必要があります。
不動産の所有権がなくなる
不動産を一度売却してしまうと、所有権は消失します。
そのため、売却を行う際には、手放しても問題がないかどうかを慎重に検討する必要があります。
現在は利用する予定がないものの、将来的に居住を希望する場合は、賃貸物件として活用する選択肢があります。
例えば、契約期間を設定した定期借家契約を利用すれば、契約期間が終了した際に退去を求めることが可能です。
譲渡所得税が課せられる
不動産を売却して得られた利益には、譲渡所得税(所得税、復興特別所得税、住民税)が課税されます。
利益が増加するほど、課税される金額も増加するため、十分な注意が必要です。
また、相続によって取得した実家については、
特定の条件を満たす場合、最大3,000万円までの特別控除を受けることが可能です。
一般的な住宅の場合、譲渡所得税を大幅に軽減できる可能性があります。
持続的な収益が得られなくなる
例えば、アパートのような収益物件では、毎月の賃料収入を得ることが可能です。
しかし、不動産を売却してしまうと、これらの収益は得られなくなります。
また、売却のタイミングについても十分な注意が必要です。
再開発が進行中の地域では、工事が完了した後に周辺の不動産需要が増加します。
それに伴い、不動産価格も上昇するため、そのタイミングで売却を行うことで、より大きな利益を得ることができるでしょう。
一方で、不動産価格が下落する可能性もあるため、より良い条件で売却したい場合は、売却のタイミングに特に留意する必要があります。
相続した不動産を売却する際の重要なポイント
相続した不動産には、いくつかの売却方法が存在します。それぞれの特徴や重要な点を確認していきましょう。
中古住宅として売却する
建物の築年数が新しく、状態が良好である場合、中古住宅としての販売が推奨されます。
建物自体にも価値があるため、高額での取引が見込まれます。
更地にして売却する
中古住宅の売却が困難な場合は、更地にして販売することが推奨されます。
買主にとっては、購入後すぐに土地を利用できる利点があるため、解体作業は手間がかかりますが、早期の売却が見込まれます。
古家付き土地として売却する
建物の解体作業を省略したい場合、古家付きの土地として売却する選択肢があります。
この場合、売却価格は土地のみに設定され、解体にかかる費用分は価格から差し引かれることになります。
それでも、解体工事を手配する必要がないため、手間をかけずに不動産を売却したい方にとっては非常に有利な方法です。
3年以内の売却がポイント
不動産を相続する際には、その評価額に基づいて相続税が課されます。
しかし、特定の条件を満たす場合には、「相続財産を譲渡した際の取得費の特例」を適用することが可能です。
この特例は、不動産の売却によって得られた譲渡所得に対して、既に納付した相続税を取得費として計上できるものです。
この特例を利用するための主な要件は以下の通りです。
①相続または遺贈によって財産を取得した
②財産の取得者には相続税が課税されます
③対象となる財産は、相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日以降3年以内に譲渡している
したがって、相続税申告期限から3年以内に不動産を売却することで、相続税の一部を取得日に計上することが可能です。
これにより、譲渡所得に対する税負担を軽減する効果があります。
被相続人の居住用財産(空き家)を売却する際の特例
以下の条件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円の特別控除を受けることができます。
具体的には、
①昭和56年5月31日以前に建築されたこと
②区分所有建物登記がされていないこと
③相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
上記が求められます。
この特例は令和5年12月31日まで適用されるため、条件を満たす場合は相続から3年を待たずに速やかに売却を行うことが推奨されます。
不動産売却時に注意したいポイント
相続人が複数存在する場合、共有名義の不動産としての売却が必要となります。
このような不動産を売却するには、全ての所有者の同意が求められます。
もし全員の合意が得られない場合、一般的な方法で不動産を売却することはできません。
もちろん、自分の持分だけを売却することは可能ですが、
買主を見つけるのが難しかったり、不動産の権利に関してトラブルが生じる可能性があります。
したがって、共有名義の不動産を相続した際には、
不動産の管理や売却方法について話し合う場を設け、できるだけ早く取り扱いを決定することが望ましいでしょう。
最後に
相続した不動産を売る際に知っておくべきメリットやデメリット、そして売却時の重要なポイントについて詳しく解説いたしました。
相続した不動産を一定期間内に売却することで、税金の優遇措置を受けることが可能です。
したがって、利用予定のない不動産を相続した場合は、早めに売却することを強くおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。不動産のご依頼、ご相談は、お気軽にアークにお問い合わせ下さい。
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